ゆくゆくは有へと

おかゆ/彼ノ∅有生 の雑記

人工言語って虚無じゃないですか(お気持ち創作論)

にわかに流行っているので、おかゆも書きたくなりました。

【参考】

kakuyomu.jp

zaslon.info

note.com

一本の筋に載せて長文かける気がしないので、小さなコラム単位で色々書いていこう、と思って1編書いたんですが、なんか微妙だったんでやっぱり一本の筋で載せれるところだけ書きます。

の前に:誰?

おかゆって何してたんかなっていうのを書いておいたほうがいい気がしたので書きます。

cogas.github.io

いちばん最初の発端はエスペラントで、本格的にはロジバンにドハマリして人工言語の世界にやってきました。その頃はあまりちゃんとした日本語での学習リソースもなく、一方で英語圏ではようやく初学者向けの分かりよいロジバン講座ができたのもあって、おかゆはその日本語訳から始まり、日本の人工言語界の文化も踏襲して「はじめてのロジバン」を書き下ろしました。第2版を書いている途中で数億年の月日が経ちましたが、関係者のみなさまには多大なるご迷惑をおかけしております。誰か続き書いてくれんかな。

基本的には「ロジバンの人」として佇んでおりましたが、自作の言語もいくつか作ろうとしてて、ログに残ってるものとしては、xaana palaadiとか、縁語やその派生のエニシキ、ロジバンmodとしてのiugbanなどがあると思います。中でも一番有名なのは「アラズ語」ですね。今でもたまにツイッターで言及されているのを見かけるし、なぜか細く長く愛されていますね。ありがたいです。

あと、同時に、分析哲学言語哲学)も非常に関心があって、「言語ってなんだろう」というところから興味があることが多いです。アラズ語はまさに「人工言語とは何なんだろうな」というような問いから出てきたかもしれません(覚えてません)。

ここたくさん書いても仕方ないか。次行きますね。

長いので消しました。

人工言語って虚無じゃないですか

本題です。

人工言語(実際、言語がそうかもね)は本質的に虚無です。虚無なので、最終的に目標は「いかにして他人にその存在を錯覚させるか」ということになってきます。他人にはいわゆる自分ももちろん含まれますが、殊に自分に対してはピンポイントに統合失調を引き起こせば解決します。

本質的に虚無なので、我々はそれを支持する別存在、世界背景や文化、小説、音声や動画といったコンテンツにやがて執着していくわけです。とはいえ、まずその言語を「あるかも」と思わせる最初の道具は、やっぱり文法書と辞書になると思います。逆に言えば、文法書と辞書だけがその人工言語の所在を知っているわけで、その有り様(書きザマやその形態もちろん含まれます)はその言語の「鏡」です。言い方を変えると、「文法書」や「辞書」は、人工言語においてはそれ自体が既に作品として曝されてるんですよね。

おかゆは度々「人工言語はフィールドワーク的に作ったほうがいい」という風に言っていますが、これは「人工言語は開発する」ものではなく「探索する」ものだという意味あいです。少なくとも第三者への見せ方としては。「開発」という言葉遣いは、もうその時点で既に「その言語は虚無です」と言ってしまっているようなものなので、自ら、その虚構性を認めてしまっています。どうせなら錯覚させませんか?既にあなたの頭には「ある」んですから。

アラズ語は、虚無自体に言語っぽい名前とそれらしい説明をつけただけなんですが、みんな面白おかしく「言語」のひとつとして受け入れてしまってくれていますね。みなさんお気づきでないかもしれませんが、実はアラズ語というのは、無なんですよ!あれのどこが【言語】なんですか?でもやっぱり言語なんですよね。人工言語ってそういうものなんだろうなというのがおかゆの考えです。

人工言語ってマジで無いんですよ。だから「うまい表し方」があるだけです。じゃあその「うまい表し方」ってなんなんでしょうね?それはたぶん付喪神の憑かせ方と同じで、いかに執着して愛着するか、というのが現状の最良の答えです。

とはいえ、冷たい目でみれば、どんなに情熱や執念をもったところで、出来上がるのは「無いものをあるように見せるための一連のテキスト」です。これってハッキングできそうじゃないですか。おかゆ人工言語自動作成に関心があるのは、まさにこの「中国人の部屋」に関してです。本質が虚無だからこそ、インターフェースがすべての意味をなす。そのインターフェースを模倣するようなアルゴリズムが作れたら、もうそれって「執念と情熱を費やした人工言語」なんじゃないかと思うんですけど、どう思います?「表層から内実を覗く」という構図を本質的にもつ人工言語は必ずいつかこの危機に曝されると思います。ドキドキしますね。

工学言語畑にいながら、求める人工言語の姿は結構ファンシーだなと書きながら思いました。工学言語畑にいたからこそかもしれません。ハッキングしてぜんぶ滅ぼしたいと思う一方で、滅ぼせない領域にまで人工言語の追求が及んでいてほしいという気持ちもあります。少なくともくだらんハックに惑わされないように、きちんと人工言語の根っこを掴んでいたいよね。そのためには既存の言語学的なフレームワークから抜け出して、人間というか想定話者というか、そういった対象の意識の傾向を掴まないといけないと思います。

飽きてきたので終わります。ばいばい