ゆくゆくは有へと

おかゆ/彼ノ∅有生 の雑記

人工言語学Wikiの「関与原理」へのコメント

ja.conlinguistics.wikia.com

コメントがあって、コメントしようとしたらなぜかこの記事にだけログインできない謎に遭遇してコメントできなかったので、ここに書いておきます。


はじめまして、おかゆです。

Yuhrさんの「格標示に比べれば関与は暗黙的ですが、そもそも、発話されている(言語形式としてそこに存在している)というだけでとんでもない明示と言えるでしょう。」という説明のほうが、本記事よりも関与原理についてよりよく的確に説明しているように感じます。関与原理のエッセンスというのは、言語形式としてそこに存在することの甚大な有標性だと思います。

本記事では、「関与原理」は意味役割の理論の中で説明しようとされていますが、実のところ、関与原理のいう「関与」は種々の意味役割よりも根本・原始にあると思います。

なぜ意味役割と同じ領域の中で「関与原理」を説明しようとしたのか、その動機はちょっと失念してしまいました。ただ、格体系のデザインの話になると、(特に工学言語の分野だとありがちですが)意味役割を格の形式として網羅的に分離しきりたいだとか、動詞のもつ意味役割の体系を完全に明示したいというような、意味役割体系における網羅性・完全性の強迫に駆られることがしばしばありますが、そもそも意味役割云々以前の問題として「言及したい対象について、そこで言い表している」という事実にはたいへん大きな価値があって、多くの語りたいことにとっては、その「言い表しによる有標化」だけで(意味役割を表示することなく)十分なんじゃないか、というようなことを考えて私は「関与原理」などと言い始めたような気がします(そうであれば、意味役割と紐付けて関与原理を説明しようとした動機にもある程度察しがつきます)。「関与原理」自体は「話者は、言いたいことを言い表している(あるいは言い表そうとできる)」というような至極当たり前のようなことに名前をつけただけに過ぎないと考えることもできます(なので私は「原理」と呼んでいるわけですが)。

拙い返事ですみませんが、これで。