もっと名詞を連ねよう
前回は基本文っていうことで「~は…だ」っていう形の文だけをやりました。
〈名詞形(名詞句)〉 + cu + 〈述語形〉
じゃあ「私はあなたを殺す」はどういえばいいでしょう?最も簡単には英語と似た感じです
〈名詞形〉 + cu + 〈述語形〉+〈名詞形〉
- .i mi catra do : 私はあなたを殺す。
- .i mi prami do : 私はあなたを愛する。
- .i mi klama do : 私はあなたのところへ行く。
- .i mi mensi do : 私はあなたの姉妹だ。
「私はあなたを行く」「私はあなたを姉妹だ」なんて言わないんだし、その簡単な表現に別の意味を与えたほうが経済的じゃない? というわけで、ロジバンでは2つ目にくる名詞句が必ずしも目的語とは限りません。
じゃあ「私は花をあなたにあげる」はどういえばいいでしょう?最も簡単には英語と似た感じです
- .i mi dunda loxrula do : 私は花をあなたに与える。
- .i lonanmu cu lebna lojdini loninmu : 男が金を女から奪う。
- .i mi klama tu ti : 私はあそこへ、ここから行く。
- .i lonixli cu cinba lonanla lomolmla : 少女が少年の、ほっぺにキスをする。
英語だと、二重目的語(SVOO)か、そうでないなら前置詞が登場するよね。ロジバンはお構いなしに名詞句をドーンと置くだけです。
そのため、ロジバンの内容語の定義は少し特殊です。
- catra :: x1 は x2 を殺す
- dunda :: x1 は x2 を x3 に与える
- lebna :: x1 は x2 を x3 から奪う
- cinba :: x1 は x2 の x3 にキスをする
- mensi :: x1 は x2 の姉妹だ
x1, x2, x3 っていうのは、1番目の名詞、2番目の名詞、3番目の名詞…ってことです。klama は?
- klama :: x1 は x2 へ x3 から x4 を経由して x5 を使って行く/来る
わお!ロジバンの述語はふつう、最大5個の名詞をとることができます。でも、必ずそれだけの数の名詞を入れ込まないといけないわけではないよ。
用語として、今までの文で、1番目、2番目、3番目…にくる名詞のことを1格、2格、3格の名詞と呼ぶことにしよう。 たとえば、catra の1格には殺すものがきて、2格には殺されるものがくる、みたいな使い方です。
じゃあ、「私は車を使って行く」っていいたいときは?こうする。
- .i mi klama fu lokarce
fi, fo, fu は途中をすっ飛ばすワープ装置みたいな語です。fu は2、3、4格をすっ飛ばして、次に5格がくるようにするのだ。
- fi : 3格までワープ
- fo : 4格までワープ
- fu : 5格までワープ
じゃあ、2格を飛ばして、3格を言って、4格は飛ばして、5格を言いたいときは? ワープホールの連鎖だ!
- .i klama fi ti fu losorprekarce : ここからバスで行く。
あ、1格の名詞は省略可能です。でもその場合は必ず cu を書いてはいけません。
コラム:日本語っぽく書く
日本語だと「~は~を~に…する」みたいに、最後に述語がくるよね。こんな書き方はロジバンではできないのかしら?できます!
- .i mi do prami : 私はあなたを愛する。
ロジバンで重要なのは名詞がどんな順番で並んでるかってことなので、こんな所業ができます。もちろんワープ装置も使えるぞ。
- .i mi fu lokarce cu klama : 私は車で行く。
一部だけ前に出すっていうよくわからん語順もいけるんよ
- .i mi tu ti klama fu lokarce : 私はあそこへここから車で行く。
じゃあ、逆に述語を一番最初に置くのは?いける!!と言いたいのは山々なんだけどダメなんです…。
- .i klama mi : 私のところへ行く。
あー、なるほど?分かっちゃった?述語の前が空っぽだと1格の名詞が省略されてると思われちゃうんだね。残念。
コラム:ワープで遊ぶ
実は1格と2格のためのワープ装置もあります。
- fa : 1格へワープ
- fe : 2格へワープ
これを使うと、縦横無尽にワープ移動しまくれるぜ!
- fu lokarce cu klama fa mi fo lozdani : 車を使って、私は、家を経由して行く。
さっきのコラムで「述語は一番前に出せない」って言ったけど、この fa を使えば可能なのです。
- klama fa mi : 私が来た。
わーい! fa が mi を述語の後ろに転送してくれました!
fa, fe, fi, fo, fu をぐちゃぐちゃに並び替えたら…えーっと、120通りの方法があります。
さらにどこに述語を置くかってので…6通りだから、表現としては720通りもの表現が可能!うひゃー!
まあでも読みにくすぎるから、ワープ装置はあまり使わないようにね。君が意地悪な人間なら止めはしないけど!
時制
時制はね、述語の頭にこれをつけます。これがついてるときはcuは省略できます。
- pu : 過去
- ca : 現在
ba : 未来
.i publanu : 青かった。
- .i bacatra : 殺すだろう。
- .i mi cadunda ti do : 私は今これを君に渡す。
もう少し詳しく言いたいなら
- puzi : ちょっと前
- puzu : だいぶ前
- bazi : ちょっとあと
- bazu : だいぶあと
もちろん lo をつければ名詞形にできるよ
- .i mi puzizvati lozdani : 私はちょっと前に家にいた。
- .i lopuzunixli camelbi : 昔少女だった人が今美しい。
もっと詳しく言いたいなら、さっきのやつの後ろに…
- ze'i : 少しの間
- ze'a しばらくの間
- ze'u : かなりの間
- ze'e : 永遠に
たとえば
- puzize'i : ちょっと前から少しの間
- bazize'u : ちょっと後からかなりの間
みたいな感じで組み合わせることができます。単独で使うこともできるけど、組み合わせるときはこの順番を守ってね。
- .i puze'ibajra : ちょっとの間走った。
- .i mi ze'eprami do : 私はあなたを永遠に愛する。
- .i mi bazize'emorsi : もう少ししたら私は永遠に死んでいる。
相
相は時制のあとにつけます。
- pu'o : ~しようとしている
- co'a : ~しはじめる
- ca'o : ~している
- co'u : ~しおわる
- ba'o : ~しおわっている
- mo'u : ~を完了する
どってことないよね。
- co'apelxu : 黄色くなる(黄色い状態がはじまる)
- mo'uklama : 行き終える
相と時制を同時に表現したいときは、時制がさき、相があと。
- puco'apelxu : 黄色くなった
- bazimo'uklama : もうすぐ行き終える(もうすぐ着く)