ゆくゆくは有へと

おかゆ/彼ノ∅有生 の雑記

認知言語学関連メモ

※ 以前のブログからの転載。

【参考】
概念化と意味の世界(深田・仲本)

# Stern の意味変化パタン

置換:技術進歩などの外的要因による意味変化;ship (airship, spaceship)
類推:fast (しっかりと、動かない に加え、副詞由来の速い)
短縮:private soldier → private
命名:本来とは別の対象を指示するために「意図的に」ある語を用いること;創造的な使用
転移:メタファーによる;leaf
入れ換え:特定の文脈において新たな解釈を与えられるようになる;beads:祈り→数珠
適応:語の指示対象の異なる側面に焦点を当てることで生じる;焦点転換、プロファイル転換
1 は言語外的要因、それ以外は言語内的要因。
2,3 は言語同士の関係、4,5 は指示の問題、5,6,7 は主観的把握に関連。


# Cruse による主要な対義語の分類

## 形容詞に代表される対義語
対象がどちらか一方に分類される離散的な対義語(alive-dead, odd-even)
連続的な尺度を持つ段階的な対義語(hot-cold, good-bad)
## 視点に基づく対義関係

動詞のような移動の方向による対義語(ascend-descend)
前置詞のような位置関係による対義語(above-below)


# 成分分析の言語学への応用

eg1) Lehler は boil, bake, fry などの料理動詞を「水を用いるか油を用いるか」「加熱方法が直火か熱伝導か」「過熱の度合いが強いか弱いか」という素性によって成り立っていると指摘。
eg2) Bierwisch(1970)・・・次元形容詞
eg3) Bennett(1975)・・・前置詞の意味分析
eg4) 服部、国広・・・次元・温度・味覚の形容詞や着脱、開閉に関する動詞の日本語の分析

しかし、得られた成分の
言語的妥当性・・・言語事実を適切に反映するか
心理的妥当性・・・母語話者の理解を反映するか
社会的妥当性・・・社会的な行動と相関するか
といった批判がなされるようになってきた(Wallace, Lakoff, Rosch, Fillmore etc.. 1970前後)


# 意味の操作的定義

Bloomfield の意味観、行動主義的言語観(chomsky以前)の代表 Skinner 『言語行動』
・・・ 言語をパロールの側面からみる

Bloomfield(1933) ・・・ 言葉の意味は話し手が発話をしたときに聞き手が引き起こす反応
行動主義心理学の刺激-反応モデルをそのまま適用
・・・ 主体による精神的な概念化の作用を排除、観察可能な現象のみを実在とする見解

言葉の意味を操作的に定義
= Vygotsky(認知発達の中で言語の機能を考えた)、後期Wittgensteinの言語観に近い
「言語を(社会的現実も含め)それだけで自律的システムとみなすのではなく、言語とは反復される社会的な慣習にほかならないと考える」
「所与の規則に従うのではなく、慣習の繰り返しによって動的な規則を生み出している」
・・・ 言語の意味は、表示=概念でなく、動的に変化する「用法」(usage)


# スクウィッシュ squish

Ross(1972)
名詞、動詞、形容詞という文法カテゴリの境界が、実は、安定した明確な境界などではなく、様々な中間的カテゴリを含む次のような連続階層体であることを指摘:

Verb > Present Participle > Perfect Participle > Passive Participle >
Adjective > Preposition(?) > Adjectival Noun > Noun