ふと思い立って、アドベントカレンダーの記事を書きます!
adventar.org
30日なので、7で割った余りの日の記事にしようと思ったら、埋まってたので、その次の日(12月3日付け)の記事ということで。
まえがき
みなさん、ロジバンやってますか?
私はですね、えっと、去年のアドベントカレンダーの記事を見返してみると:
iuk.hateblo.jp
まあ案の定というか…なんというか…
せめてもの罪滅ぼしに記事を書きます。すみません。
みなさん、名前かいてますか?
新しい言語を学んだとき、多くの人がまずはその言語の綴りで自分の名前を書いてみようという気になると思います。
これはロジバンでも例外ではなく、ツイッターとかを見てても、ロジバン風味のその人の名前を見かけます。
ただ、ロジバンにおけるいわゆる固有名詞というのは、ふつうの言語と比べてちょっと面倒くさいですよね。
たとえば「ゆういち」くんの場合、英語なら"Yuichi" と、頭文字を大文字にするということはあるものの、基本的にローマ字で表記すればOKです。
エスペラントならもう少しだけ厄介で、エスペラントでは名詞は必ず語末がoで終わらないといけないので、oを名前のあとに書き足します。
なら、ロジバンは?というと、ロジバンはその構文的な厳密性のために、文中で名前(名称語とかcmeneとかいう)を使う際にはさらにもう一工夫しないといけません。
そういった厄介なところもあって、『はじめてのロジバン第二版』では、名前の書き方は第二部に回されています。
2. 名称語とアクセント - はじめてのロジバン第2版
名前が書けなくても文法は学べますからね。
とはいえ、やはり我々人間は新しい言語を学べば自分の名前を書きたくなるのが筋というもんです。
ということで、ここでは基本的な読み方は前提として、「どーしても自分の名前をロジバンでいちはやく書きたい」という人のためのちょっとした記事を書くことにします。
発音がわかんないって人は、こちらをどうぞ。
2. 発音とアルファベット - はじめてのロジバン第2版
ルールには大きく分けてふたつある
ロジバンで仕様通り(人工言語ですから仕様があります)に名前を書いて、かつ文の中で使うには、大きく分けて2つのルールがあります。
- 語の形として正しいか(形態論的に正しいか)
- 文の中にあらわれる名前の形として正しいか(統語論的に正しいか)
一つ目は、さっきの英語やエスペラントの例であげたような「名前自体」の調整です。促音どうするかとか長音どうするかとか、翻訳先の言葉にうまいこと変換する必要があるのはどんな言語でも同じです。
似たようなことがロジバンでもあって、ただこっちのほうが長いので、とりあえず先に行きます。
二つ目は、文の中できちんと使うための約束があるってことです。もう面倒なのでドンと書いちゃうと、
la [名前] ku
の形にします。名前となる単語を la と ku で囲むというだけです。
※ 正確を期すために補足しておくと、後ろの ku は比較的新しい用法で、対応していない構文解析器もあります。
英語やエスペラント(まあ恐らく他の大抵の言語でも)と異なり、名前の単語だけを文中に用いるのはロジバンでは仕様上正しくありません。
「la と kuで囲む」と覚えていてください。ま、覚えるのもラク(la ku)ですよね(は?)
じゃあ本番にいきます
ここからが長い。なぜかというと、「語の形として正しいか」どうかを見分けるためには、ロジバンにおいて可能な音の並びを全て知っておく必要があるからです(だからこそ『はじロジ』では後に回したわけです)。
で、実際問題、筆者も疲れてきたし(早くない?)、筆者が疲れてきているということは、読者も飽きてきていると思いますので、本当の本当のエッセンスのとこだけかい摘んで話します。
この記事は、言わずもがな日本語で書かれており、ということは多分読者のあなたの名前も日本語ですよね?なので、日本人の名前をロジバン風に変換する方法だけ書いとけば事足りますよね!
というわけで、これだけ守っておけば少なくとも間違いにはならない的なルールを書いていきます。
名前の両端に"."をつけること(ドットサイドルール)
{soras} ではなくて、{.soras.}にしましょうってことです。もちろん理由は構文厳密性のためですが、詳しくは割愛します。
名前の最後は子音にすること
ソラさんは {sora} ではなくて {.soras.} だとか、{.soran.} だとか、とにかく子音を語末につけておきましょう。
もちろん、元々の名前が子音で終わってる人はそのままでOK。カレンさんは {.karen.}でいけます。両端ドットを忘れずに。
ロジバンの綴りのルールに従って音を起こすこと
まあこれは当たり前といえば当たり前ですよね。「ゆな」さんがいたとして、"Yuna"は英語では合っていますが、ロジバンではちがいます(ロジバンでは y は別の音に割り当てられています)。
ユナさんは {.iunas.} とかになります。語末子音はお好きなのを。ロジバンのヤ音は i + 母音
です。ワ音は u + 母音
ですね。
(長音と促音は)ないです
「るー子」さん、ごめんなさい。{.rukon.}とかにしましょう。「ゆっこ」さんもごめんなさい。{.iukos.}とかにしましょう。
ロジバンでは、同じ子音を続けることができないので、「ゆっこ」を iukko とは書けません。
ただ、音的に近くしたいのであれば、たとえば {.iutkon.} とか、そういう方法はあります。
母音は基本的に連続しません
ヤ音やワ音の『子音』(正しくは半母音ですが)として i や u を使う以外で、母音(a, e, i, o, u)を連続することは少数の例外を除いてダメです。
少数の例外は覚えてください! ai, ei, oi, au の4つです。アシカにでもなった気分で声に出して覚えましょう(あ、でもアシカは「オゥ」か)。
じゃあ日本語の名前で母音が連続する人はどうすればいいのか?というと、アポストロフィ(hの音)で区切ってください
たとえば、アオイちゃんは、aoi ではなく、{.a'ois.} とするのが安全です(oiは少数の例外なのでセーフ)。
ユウイチくんは、{.iu'itcis} とかが安全でいいと思います。
ちなみに、ヤヨイちゃんは、{.iaiois.}とかなり再現性高く綴れます。なんでなのか少しだけ詳しく見てみると、
- 最初の ia はヤで確定
- その直後の i はこの時点では2つの可能性がある:前の「ヤ」と繋がって「ヤィ」か、新しいヤ音の始まりになるか。
- o がくると、さっきの i の前者の可能性がなくなる。「ヤィオ」はありえないので、「ヤヨ」に確定。
- is。これはヨにつづいて、「ヤヨィス」となる。
と、母音が基本的には連続しないという約束のおかげで、ヤヨイと読めるようになっています。
でも、いちいちこの分析をするのは面倒かも…?と思ったヤヨイちゃんは、音節区切り明示のカンマを使いましょう。カンマによって新たな読みを示すことはできません(と思っておいたほうが安全)が、上のような分析を相手に強いる心配がなくなります。
{.ia,iois.} は、{.iaiois.}と音として全く同じです。ただ読みやすいってだけです。
カンマの詳細な使用法については、以下の議論も参考にしてください(親切でいうと、初学者は特に気にしなくていいです):
groups.google.com
おわり?
たぶん終わり。本当はここにさらに「連続してはいけない子音の列」という話が入りますが、日本語名のロジバン名化に限ればその話をしなくても大抵対応できるんじゃないかと思います。